1on1 ノウハウの共有

1on1 ノウハウの共有

5 年間で得た 1on1 に関するノウハウをまとめて共有
Clock Icon2022.02.07

この記事は公開されてから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

ここでは主導する方が知っておくべきものをまとめています。

なおこの記事での 1on1 とは、バスケのハーフコートにおける 1 対 1 の攻防ではなく、職場における 1 対 1 の定期的な話し合いのことです。

1on1 で話すべきこと

業務以外の課題解決

なにか課題を抱えていると他のどの話題にも身が入らないため、まず話せる環境を作りましょう。同様に課題は業務効率を落とします。

ここでの課題は次を指しています。

  • 健康上の課題
    • 業務が原因で病院受診が難しい場合の業務量の調整など
    • お互いの健康テクニックの共有なども Good
  • 家族との課題
    • お子さんが夜泣きで寝不足などの場合は就業時間の調整など
    • 親族と折り合いが悪いなどの場合、第三者としての意見や、自分の経験を共有する
  • 社会上の課題
    • コロナ禍によるつらみの共有など

業務に連動するわけではないため、前回課題がなかったからといって今回もないと仮定してはいけません。できれば毎回、確認すると良いでしょう。

フィードバックを求める

自分を客観的に評価してもらう機会を作りましょう。率直なフィードバックをもらえることが信頼関係を築けているかの試金石です。最初は忖度が出るかもしれませんが、5 回に 1 度くらいの頻度で求めていきましょう。

指摘事項は受け止め、自身を高める糧としましょう。ある程度のキャリアを重ねると、フィードバックもらうこと自体が貴重なので、こういった場を活用していきましょう。

対象者の普段を見る

普段のチャットでのやりとりや、その方が作った成果物などを普段から見ましょう。それによって 1on1 での話題も増えますし、普段の活動を口に出すだけで存在の肯定につながり、より身近に感じてもらえます。

このあとで紹介する信頼関係構築の方法より、最も大切なことです。

ラポールの形成

率直にフィードバックしてもらえるようになるため、ラポールを形成していきましょう。ただ、きちんとやるためには習熟が必要なため、次を意識するだけでも違うことを覚えておくと良いでしょう。

  • ペーシング
    • 相手のテンポやボリュームにあわせる
  • 軽いバックトラッキング
    • 相手の使う言葉で話す
  • キャリブレーション
    • 表情や顔色を見る

これらは相手のことをきちんと見て、聴いていなければできないものです。ひとつずつでいいので、じっと相手のことを観察してください。

傾聴と自己開示

これらはコーチングのスキルとしてよく挙げられるものですが、信頼関係構築に役立ちます。

傾聴はトレーニングを受けないと習得が困難なので、できなくても問題ないです。が、話しを遮ってしまったときはちゃんと謝ることは徹底しましょう。

自己開示は距離が一気に縮まるので共通点を見つけたら思い切って話してみると良いでしょう。自分語りでその会終わっちゃった、でも良いと思います。が、あまり楽しくなさそうだったら早めに切り上げてください。

相互の情報伝達

組織が個人に対して伝達すべき情報は次のようなものが挙げられます。

  • 企業理念
  • ビジョン、ミッション、バリュー
  • 組織目標
  • 文化

これらは通常、社長など組織の長からの発信がなされていることが多いですが、すべての従業員が 100% 理解できているわけではありません。発信方法によってはそもそも情報が届かないこともありますし、届いても欠落する情報はあります。

こういった情報について補足する場として使いましょう。そのためにはもちろん 1on1 を主導する方がこれらを正しく理解していなければなりません。社長など、最も正しい情報を持つ方と同期する時間をとるのも有効です。

また、逆に次のような話題は現場でこそより感じられるものです。

  • 組織的な課題
  • ヒヤリハット

こういったものがないか、問いかけてみましょう。詳細を把握し、解決に動きましょう。

S/N 比の向上

情報伝達を効率的にするため、 S/N 比を上げるための努力をしましょう。

まず、人によって適切な情報伝達チャンネルは異なります。また、話題によっても異なるでしょう。

  • テキスト
  • 画像
  • 音声
  • 動画

これらを組み合わせて、個人ごとに適切なプロトコルを組み上げる努力が必要です。

A さんはチャットでの周知をすれば意図したことも含めてわかってくれるけど、 B さんはチャットと口頭の両方が必要、 C さんは文字でのコミュニケーションが得意だけど表現がわかりづらいので別チャンネルで意図を確かめる必要がある、 etc 。

伝わる言葉を探す作業と言い換えてもいいでしょう。お互いが心地よいプロトコルを探していきましょう。

成長支援

Will / Can / Should の重ね合わせ

以前、詳しく書いたので参照してください

補足として、 Should はチームが強くなる方向で決めていくと良いでしょう。これはチームのためだけでなく、その方が活躍しやすい状況が増えるため、成長しやすいためです。

どういった業務をすべきかはスキルマップを作成してみると良いでしょう。

現状確認と目標の再設定

評価の手法としてよくあるのが四半期ごとの目標設定と達成度合いの確認、というものだと思いますが、これは非常にロスが多い手法です。 VUCA の中、 3 ヶ月間有効な目標を立てること自体が難しいためです。また、慣れていないと目標を忘れてしまい、目標と関係のないことしかできていない、という結果になってしまいます。

これをより柔軟に、 1on1 のタイミングで目標の再確認と現状把握、さらにそれらのギャップをはかって努力の方向性を調整していきます。その際、目標が現実にそぐわないことがわかった場合は再設定しましょう。

目標設定はキャリアラダーなどが提供されている場合はそれを元にたてるのがよいでしょう。ただし組織への過学習を避け、価値を生み出すことができる人間となるための目標という視点を忘れないようにしましょう。

1on1 のための技術

頻度と時間

毎週 30 分の予定を入れて実施するのが良いでしょう。この記事で紹介したトピックを話すにはそれでも時間が足りないと思いますが、その場合は時間を伸ばしたり、回数を多くしたりして対応していくと良いでしょう。

時間を効率的に使うために話すトピックを絞ることは有用ですが、頻度を下げるのはおすすめできません。現在では従業員のおかれている環境は日単位で変わるため、毎週の 1on1 でやっとキャッチアップできるかどうか、という状況になりがちだからです。

問いかけ

基本的に 1on1 は対話の場ですが、その本質は考えてもらう時間を持ってもらうことにあります。どれだけ考えてもらえるかは主導する方が発する問いかけにかかっています。

以前、考えさせられた問いかけをそのままぶつける、で良いと思います。問いかけの引き出しを増やしておきましょう。

  • 将来何になりたい?
  • 目的とするひとはいる?
  • テンションが上がる予定、スケジュールに入ってる?

ティーチング

考えてわかることでないことや、歴史的経緯があって調査が難しいもの、世間一般の常識となっていることは教えたり参考文献を提示して、覚えてもらいましょう。

サッと提示できるよう、参考文献になりうるものはストックしておきましょう。

主導される経験を積もう

1on1 を主導する方は、同時に 1on1 を主導される経験も積みましょう。次の意味合いがあります。

  • 心地よいコミュニケーションの引き出しを増やす
  • 問いかけの引き出しを増やす
  • 参考文献のストックを増やす
  • 企業理念やビジョン、ミッション、バリューを間違って理解してないか確かめる

話題の選択

1on1 を主導する人間があるていどやる想定ですが、毎回最初に次のような問いかけをすると良いでしょう。

  • 最近どうですか?
  • なにか困ったことや不安なことはありますか?

これは今一番気になっている話題が出てくることが多く、効果的な時間となりやすいです。

また、複数のトピックを重ね合わせて話すことも重要です。組織課題のハナシの中で文化に沿った解決法を一緒に模索するなどは、印象に残りやすく話した内容が定着しやすくなります。

議事録

前回何を話していたかなど、すぐ忘れてしまうものです。 1on1 参加者の 2 人のみが編集できるツールを利用して、記録をとっていきましょう。権限管理がやりやすい Google Docs や Notion の Private ページの共有などを使うのがオススメです。

次のことを記録していくと良いでしょう。

  • 日付
  • その日のテーマ
  • 思考過程、理由
  • 宿題、問いかけ

最初はここまで話した、というアンカーを書くだけでも良いです。

お互いにここを見ることで、 1on1 で話したことが記憶としてよみがえる効果があります。また、ある程度時間が立ってから見直すと、どれくらい成長したのかがわかります。

話した内容の取り扱い

常識や検索によって出てくる情報以外はすべて 2 人だけの秘密としてください。どんな些細なことでも、他の方が知っていることがわかったときに信頼は地に落ちます。

例外的に共有してよいものは、次に限ったほうが良いでしょう。

  • 健康上の課題など、業務調整のために必要な情報
  • 共有してもらった組織課題を抽象化したもの

これらも共有の許可をとると確実でしょう。

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